先日、三浦半島に知的障害当事者と車でドライブにいったついでに、スイカをお土産に買い、風雷の事務所に差し入れた、、、。
僕はスイカとメロンが苦手、ウリ独特の甘さが、味、香りと、どうも好きになれない。
自分の冷蔵庫に入っていたら閉めて開けない。
スイカを喰った後の女性とは、その人がどんなに魅惑的でもキスしない。
でも、ミーハーなので、雰囲気で他人には振る舞ったりする。
昔々、僕が二十二、三才の頃、知的障がい者が通う福祉作業所は、まだ訓練の残り香が強く、職員は福祉指導員、授産指導員と呼ばれ、利用者から、また職員同士も「◯◯先生」と呼ばれていた。
アルバイトの僕さえ利用者から「中村先生」と呼ばれたりしていた。
そんな夏の日の昼休みに、僕が作業所の事務室で記録を書いていると、ちえこさんが「中村先生!」ってデッカイ声で僕に声かけながら、スイカとお茶を持ってきてくれた。
ちえこさんは、僕より10歳くらい年上の女性で、軽度の知的障害があり、養護学校を卒業してから福祉作業所に通っている。
気さくで、明るく、感情の起伏は大きいが、少し少年ぽい優しい方でした。
職員の中では、かなり若手だった僕を気にきってくれていて、まだ作業所の勝手が分からず戸惑い気味の僕にあれやコレやと構ってくていた。
「ああ、ちえこさん、ありがと。でも、俺、スイカ嫌いだから、お茶だけ貰うね(^o^)」
ちえこさん、沈黙。
ちえこさん、顔を真っ赤にして、お茶とスイカののったお盆を机に、やや乱暴に置き
「中村先生のバカ!あたしがせっかく切ったのに!」
ちえこさん、泣きながら事務所から飛び出していく、、、(-_-;)
一瞬、事態が分からずに呆然とする僕、、、。
数分後、置かれたスイカを持ち、ちえこさんが駆け込んでいった食堂に向かう。
ちえこさんは、食堂のテーブルにうつ伏せて号泣中。
僕はスイカを持ち、隣に座る
「ちえこさん、スイカ、ありがとね」
って食べてみせるとちえこさんは
「あたしの切ったスイカ、美味しいでしょ」
「そうだね、美味しいね」
「でしょ、美味しいんだよ」とニコニコと。
あん時、どう接するのが良かったか?なんてどうでも良く、夏にスイカを見ると思い出す話し。僕が知的障害のある人たちと過ごし始めた頃の話し。
まさか、その後、こんなに長くとは夢にも思ってなかった。
しかし、あのスイカは甘かった。
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