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大田障害者連絡会 学習交流会にむけて~居宅介護・移動支援の課題 風雷社中の取り組みより

2013年7月23日19:00からおこなわれる大田障害者連絡会学習交流会に発言者として参加します。事前原稿がやっと( ̄□ ̄;)!!UPしたので、公開しておきます。学習交流会は大田区蒲田のMICSおおた教室にてやるので、興味のある方は是非、ご参加下さい(^O^)




居宅介護・移動支援の課題 風雷社中の取り組みより



風雷社中は東京都指定の介護事業所「支援事業 風:fuu」を運営し、障害者居宅介護と移動支援に取り組んでいます。

風:fuuは障害種別を限定していないのですが、9割の利用者は知的障害者です。

なので今回は知的障害者が居宅介護、移動支援を利用するにあたって生じている課題についてお話します。


 実際には一体の課題なのですが、整理もかねて利用者視点と事業者視点にわけてお話していきます。



利用者視点での課題として


 ①居宅介護、移動支援ともに「保護者が介護、支援にあたれなない明確な理由」を支給決定の条件としている。

特に児童の場合に居宅介護の支給は厳しく制限されている。


 これは、ケアが必要な人のケアは家族が担い、担い切れないところを公が手伝いますって考えが根底にあるのだと思っています。

だから保護者がケアにあたれない明確な理由を問うてきます。

また、移動支援は「両親の就業」を根拠と出来て、居宅介護は「片方が仕事を辞めると非課税世帯になるのなら」対象とする、なんて歪みがあるから、居宅介護ニーズに対して移動支援が支給されるなんて無茶が生じています。

ケアをする人がいないから、ガイヘルと外出していてくれよ、、、なんて状況が生じている。


 ②居宅介護、移動支援ともに「一定の支給量の基準」を行政内部で設定していて、本人が必要としている量が支給されない場合がある。


 鈴木さんとの訴訟以来「上限」って言葉は使われなくなり、「標準」って言葉に入れ替えられました。

運用としても「上限」と言っていた頃よりも緩やかにはなって来た感はあります。

しかし、前述の「保護者がケアできない時間」を理由に、年齢相応の自立した家庭生活や社会参加が保障される支給内容になっていないのが現状です。


 ③移動支援は障害手帳を基準としているために、該当しない場合は必要な状況があっても利用できない。


 これは身体障害1種2級や高次脳機能障害の場合に手帳要件が一致しないからと、明らかに移動支援の必要があっても申請さえ受け付けないケースがみられます。



④居宅介護、移動支援ともに利用内容について制約が大きく、生活の実態に沿ったサービスの利用が受けにくい。


 居宅介護に関しては、身体介護、家事援助に該当するケアが発生していることが必要とされ、「見守り」が認めれられていないことから、知的障害者が自宅で過ごすとき対応できる制度がない現状があります。次年度重度訪問介護が知的障害も対象になることで解消される事を期待しています。

移動支援に関しては「あくまで外出に際する移動の支援」であることが前提にあり、外出先での対応に制限が相変わらずあります。プール内での対応、区内銭湯での対応、カラオケ、映画館等も指摘に上がることがある現場です。


 ⑤居宅介護事業所のマンパワー不足の為に、必要と支給決定されもサービス利用が出来ない場合が多発している。


 現状として、家族のケアが届かない必要最低限の支給決定しかされていないが、居宅介護、移動支援ともにマンパワーは欠乏しています。

基本的に利用者(家族)が事業所を名簿を見ながら端から探していくので、対応してくれる事業所に出会うまで何社も電話したり、、、出会えればラッキーって感じの状況です。

何故マンパワーが不足しているかはこの後の事業所視点での課題にて触れますが「制度はあれども、人材はなし」やらずボッタクリ状況です。


 事業所視点での課題として


 ①現状の報酬のみでは事業実施に必要な支援者の募集、育成にあてる予算が組めない


 障害者居宅介護、移動支援事業に特化して事業所を運営していくと、2.5人の常勤換算でのスタッフ配置が必要になります。

「週40時間勤務の常勤2名、20時間勤務の非常勤1名」ってイメージです。常勤換算であり、常勤が義務付けられているのはサービス提供責任者1名だけなので「週40時間勤務の常勤1名、6時間勤務の非常勤10名」でもありではありますが。

これは僕の経験的な感覚ですが「ユーザー15名で年間収益400万円」くらいかなと考えています。

常勤1名をサビス提供責任者管理者兼務でおき年収500万円、事務所費120万円として計620万円の利益をあげるのが最低LINEの運営になるかなと思っています。

人件費率を50%で考えて1240万円の売上が必要になります。

ザックリ45名のユーザーが必要になる感じです。

これは潤沢に支援がまわってのイメージですが、45名のユーザーに滞り無く支援者を当てていくための求人費や研修費を盛り込む余裕はない感じです。

特に移動支援は近年送迎ニーズが拡大していて、短時間、同一時間帯での支援が求められています。


 ②個別支援会議等の支援ネットワークの必要が言われているが、会議コストなどが負担となっている。


 上記の資金繰りの中で、サービス提供責任者には、他の事業所等とのネットワーク作りが求められています。

実際にネットワークの構築はユーザーにとって有益なものですので積極的に取り組みたいですが、ネットワークを形成していくための会議に参加する事は一切報酬には反映されていない中で、運営を圧迫する状況になっています。




提案として


 支給決定や制度運用についての課題を解決していくには、事業所や関係諸機関がネットワークをしっかりと作り、課題の共有を進めていく事が必要です。

しかし、会議コストが事業所運営を圧迫しては本末転倒になってしまいます。

そこで、最初の提案として「ネットワーク会議に事業所報酬を設定する」ことをあげます。

これは特に総合支援法に則ったものではないので、地方自治体がその気になればできるはずです。


 2つ目の提案として「移動支援従事者養成講習の区単位での実施」を上げます。

現状として大田区の移動支援の支援者はヘルパー2級以上か東京都指定の「移動支援従事者養成講習」の受講が必要です。

しかし移動支援に関しての資格要件は区が設定できるので、大田区が独自の要件を設定して区民の参加しやすい「大田区移動支援従事者養成研修」を実施することで、人材の拡充をはかることが可能になると考えています。

またこの研修の実施についてく独自補助を設定していく必要もあると考えています。


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